動物介在プログラム 基礎 講習会
どんな講習会?
動物介在プログラムとは(2)
講師:山崎 恵子先生 (一般社団法人 アニマル・リテラシー総研)
野生動物は介在プログラムに使ってはいけないということをご存知でしたか?
これは国際学会である「人と動物の関係に関する国際組織」(IAHAIO)の 白書 にも明記されています。
【引用 Wild and exotic species (e.g., dolphins, elephants, capuchin monkeys, prairie dogs, arthropods, reptiles), even tame ones, cannot be involved in interactions.】
同学会の理事会がこのような文章を出した時には、欧州のとある国でイルカセラピーをやっている団体から「認めてほしい」という嘆願書が届きました。しかしIAHAIOの理事会はそれを認めませんでした。
むろん法律で禁止されているわけではありません(国によってはイルカ類の飼育そのものが禁止されているところもありますが)。法律で禁止されていなくても、野生獣を介在の現場に参加させること自体非常に危険であると同時に、動物の福祉を侵害することにもなるのです。野生動物は人間と共に作業をするという側面を持ち合わせていません。そもそもそのような「ソフトウェア」が備わっていないのです。
しかし、今の世の中には、大蛇でもカピバラでも何でも「おさわりオーケー」というような触れ合いが蔓延しています。いかに大きなリスクがそこにはあるか、誰も気づいてはいないようです。ルールを守った、訪問する側もされる側も安心・安全な活動とは一体何かを、もう一度考え直すことが必要なのではないでしょうか?
動物介在プログラムは、多くの人々に恩恵をもたらしてきましたが、一つでも事故が起これば「それ見たことか…」というような批判が高まってしまうでしょう。やはり動物は危険である、やはり動物は不衛生である… このような意見が出るようなことがないように、実践者たちは「介在の本当の常識」を身に付けておかなければなりません。その常識の中には、犬や猫の幼体、そして野生動物は絶対に活動に参加させてはならないというものもあります。
何故?少し考えてみればわかるはずです。子犬や子猫はストレスに弱く体調を崩しやすいことに加え、まだ排泄の管理もしっかりとできていないでしょう。どう考えても、医療や福祉の施設に連れていくこと自体に無理があるのです。
また野生動物は、行動管理ができません。何年間も自らが調教をしてきたシャチにズタズタにされてしまったトレーナーの話なども聞かれたことがあると思いますが、いざとなった時には、人間は野生動物の行動を抑制することはできません。そのような動物を本当に病院や学校などに連れていかれるのでしょうか?やはり常識で考える必要があります。その常識も言われてみて初めて分かるものかもしれません。
常識とは何か考えてみませんか?